NFTやブロックチェーン技術とゲームソフトをコラボする事業に積極的に取り組んでいるスクエニは、業界ではパイオニア的な存在として注目されています。すでにブロックチェーンゲームの開発やNFTシールなどでは大きな成果を上げています。
そこで本記事では「スクエニ NFT」のSIMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)について詳しく解説します。
スクエニはゲーム業界でNFTへ参入した最初の企業
ゲームメーカーとして人気の高いスクエニ(スクウェア・エニックス)は、2003年にスクウェア社とエニックス社が合併して誕生しました。ファイナル・ファンタジーで人気のスクウェア社と、ドラクエシリーズで人気のエニックス社が合併したことによって、ゲームソフト業界を牽引する存在となったのです。
そんなスクエニは、2021年にNFT業界へ参入しました。NFTへの参入はゲームソフト業界では初の試みで、スクエニはパイオニア的な存在として注目を集めました。
初のNFTはデジタルシール
NFT(Non Fungible Token)とは非代替性トークンのことで、デジタルアートの著作権を保護する目的で開発されたデジタル資産を指します。
NFT作品には画像や音声など様々なタイプがありますが、ネット上で販売する際にはオリジナルのアーティストへ報酬が入る仕組みとなっている点が大きな特徴です。従来のデジタルアートはロイヤリティの支払い方法が難しく、1次販売に関してはアーティストが報酬を受け取ることはできても、2次販売になるとオリジナルのアーティストまで報酬が届きづらい仕組みがありました。しかし、記録が残るブロックチェーン技術を活用することによって、2次販売でも製作者に報酬が届く仕組みが確立されたのです。
スクエニが取り組んだ初のNFTは、「資産性ミリオンアーサー」というデジタルシールでした。これは10種類のキャラクターシールで、1枚500円で販売され、初版の1,000枚はあっという間に完売したという実績があります。その後に販売された、30枚がセットとなったミリオンプレスのシールセットでも、200セットが短期間で完売したほど大人気となりました。
NFTはネット販売のみで、スクエニが販売するシールが欲しいユーザーがサイトへ殺到し、サイトの緊急メンテナンスが必要となる事態まで起こったことで、多くの人の注目を集めました。ちなみに、資産性ミリオンアーサーのNFTを購入したファンの多くは、ブロックチェーンの技術や仮想通貨に興味のあるユーザーをはじめ、従来からミリオンアーサーが大好きなファンでした。
ミリオンアーサーは実証実験
スクエニがNFTミリオンアーサーを販売した当時は、実証実験的な位置づけでした。社内ではすでにブロックチェーンの技術やNFTをどのようにゲームとコラボさせるかという点が積極的に検討されていたものの、具体的な方向性はまだ見出せていませんでした。
同じタイミングで登場したミリオンアーサーのスピンオフ漫画に注目し、これをNFT化したことが始まりです。それまでは固いイメージのあったブロックチェーンに対して、ゲームや漫画というソフトな要素を加えることによって、より多くの人が興味や関心を持ちやすくするという目的もありました。
NFTシールはどのように使えるのか?
ミリオンアーサーのNFTシールは、NFTマーケットプレイスで購入することができます。購入は、デジタル通貨で支払いをするという点が特徴です。購入すると、従来のトレーディングカードのようにフィルムに包装された画像が届き、開封するとLINEウォレットにシールを保管できる仕組みとなっています。
このカードは、購入者が別の人へ販売することも、交換することもできます。ブロックチェーン技術を使ったNFTなので、カードの所有者が誰になっても、どのように売買されても、それらがすべて記録され、オリジナルの製作者であるスクエニへ報酬が入る仕組みとなっているのです。
スクエニはどのようにNFTを普及させたのか
スクエニでは、ミリオンアーサーの後にも、様々なトレーディングカードをNFTとして販売しています。購入しやすい価格帯で販売し、販売数を増やしてユーザー同士が気軽に交換・売買できる環境を整備した点もまた、NFTの普及に大きく貢献したと言えるでしょう。
LINEブロックチェーンで3色のカードを販売
スクエニのNFT事業の中で、多くのユーザーの心をつかんだのは、3色のカードを合計100万枚販売したプロジェクトでした。NFTアートの中には、販売数を限定することによってプレミア感を出し、転売で大きな利益が出る作品もあります。しかし、スクエニが行ったこのプロジェクトはそうした利益を目指すのではなく、ユーザー同士が気軽にトレーディングカードの交換をすることで、より多くのユーザーを獲得することを目的としていました。
コンビニのガチャガチャよりは若干高めの価格設定に加えて、販売した3色のカードを集める楽しさも味わえるようにと、販売枚数を多めに設定しました。その結果、ユーザー同士がコミュニティ内で自身のカードを紹介し、別のユーザーとカード交換を行って、大当たりしたのです。SNSでユーザーがカードのプロモーションを行い、「3色すべて集めた」と報告紹介するユーザーが現れるなど、より多くの人にNFTアートの存在が知られる結果となりました。
スクエニのNFTはポイントが貯まる仕組み
スクエニのNFTには、ポイントシステムも導入しています。「おまんじゅう(OMJ)」と呼ばれるポイントシステムは、スクエニのシールをホルダーに貼り付けておくと、それだけで1日当たり1OMJ(1ポイント)が貯まるというシステムです。OMJは仮想通貨ではないものの、貯めたポイントを現金化できる仕組み作りをするべく、スクエニではチームを作って取り組んでいます。
スクエニが取り組むNFTアートプロジェクトとは
スクエニでは2023年12月に、NFTコレクティブルアートのプロジェクト「SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)」を立ち上げました。これは、ユーザー同士が情報交換しながら物語のストーリーを進め、隠されているアイテムを探すといったミッションも含まれている、新しいスタイルのエンターテイメントです。スクエニではSYMBIOGENESIS専用のコミュニティを立ち上げており、ユーザーはそこでLINEブロックチェーンから購入したアートのSNSアイコンを利用することができます。また、他のユーザーとコミュニケーションを取りながら、ストーリーの展開に貢献できるという魅力もあります。
SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)とは?
このブロックチェーンゲームは、ユーザー参加型のファンタジーアドベンチャーゲームです。ユーザー同士が情報交換をしながら物語を進める点が大きな特徴で、仲間と冒険する中では、竜などの敵が襲ってくることもあります。ストーリーの中に様々なヒントが隠されており、先へ進むために必要なアイテムを探しながらゴールを目指す、次世代型のロールプレイングゲームとなっています。
SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)では、ゲーム中に複数のチェックポイントが設けられています。従来のゲームと同じように、出現するヒントを頼りに、特定のアイテムや人物を探しながら先へ進み、チェックポイントをクリアしなければいけません。
従来のゲームと大きく違う点は、出現するヒントはプレイの中では見つけられないという点です。公式の掲示板やコミュニティで、他のユーザーと意見交換や情報交換を行ったり、ヒントとなる情報を持っている人を見つけたりなど、ゲームで先に進むためにはユーザー同士の交流が必要不可欠な要素となります。
SIMBIOGENESISの魅力
SIMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)は、最初から誰でも理解できるシンプルなストーリーが描かれている点が大きな魅力です。ゲームの舞台となる浮遊大陸には様々な謎が隠されており、それを一つ一つ解き明かしていくことを目的としています。ロールプレイングゲームの一種なので、ゲームを進めるごとに自身のキャラクターがレベルアップする楽しさもあります。ゲーム内でクリアしなければいけないチャレンジには、自分一人で解放できるアイテムもありますが、全プレイヤーが協力しなければ謎を解けないアイテムもあります。これまでのゲームとは異なる楽しみ方ができる点が大きな魅力です。
パブリックオークションでキャラクターのNFTシールが手に入る
SIMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)の中には、ストーリーの謎を解き明かすカギを握るキャラクターが複数登場します。スクエニでは、2024年5月から6月にかけてパブリックオークションを開催し、これらキャラクターのNFTを購入できる機会を設けました。
事前登録なしで誰でも参加できるオープンスタイルのオークションでは、SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)の2章に搭乗するNFTキャラクター1,500人のうち、1,200人が販売の対象となりました。落札すると、そのキャラクターのNFTアートコンテンツをはじめ、ゲーム内で活用できるスペシャルなアイテムなども獲得できるという特典が付いていました。さらに、どのキャラクターを落札するかによって、そのNFTキャラクターのレプリカNFTを発行可能なポイントも獲得できるというメリットがありました。オークションは大人気で、今後もタイミングを考えながら再び開催されることが期待されています。
SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)の始め方
SIMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)の始め方は、以下の通りです。
- ウォレットを作成する
- ウォレットにポリゴンネットワークを接続する
- 公式ディスコードに参加する
- ETHとMATICを取り扱っている仮想通貨取引所で口座開設する
- OpenSeaにアカウント登録する
ウォレットを作成する
ウォレットは、「仮想通貨やNFTを管理するための財布」と考えると分かりやすいでしょう。
ゲーム内で獲得したNFTもこのウォレットで管理します。
言うなれば、ウォレットは「SIMBIOGENESIS」と「仮想通貨取引所」の橋渡し的なものです。
ウォレットにはいくつかの種類がありますが、「SIMBIOGENESIS」ではMetamaskが推奨されています。
ウォレットにポリゴンネットワークを接続する
「SIMBIOGENESIS」は、ポリゴンという仮想通貨に対応したゲームファイです。
ちなみにMetamaskは初期状態だと、ポリゴンに対応していません。
Metamaskにポリゴンを追加する手順は以下の通りです。
- 「Metamask」を立ち上げる
- 「イーサリアムメインネット」をクリックする
- 「ネットワークを追加」をクリックする
- 「Polygon Mainnet」の右にある「追加」をクリックする
- 「承認」をクリックする
手順にそって進めば1分ほどで完了する作業です。
公式ディスコードに参加する
「SIMBIOGENESIS」では、他のプレーヤーとの情報交換が必要です。
X(旧Twitter)でも情報収集はできますが、ディスコードも便利です。
ディスコードで仲良くなった人とチームを組んでゲームを攻略しても良いでしょう。
「SIMBIOGENESIS」の公式ディスコードはこちら。
ETHとMATICを取り扱っている仮想通貨取引所で口座開設する
「SIMBIOGENESIS」は、ETH(イーサリアム)とMATIC(ポリゴン)に対応しています。
この2つの仮想通貨に対応しているおすすめの取引所がこちら。
- 仮想通貨初心者の人:わかりやすい操作性が魅力な、Coincheck。
- 仮想通貨の取引に慣れている人:セキュリティ対策に定評がある、GMOコイン。
OpenSeaにアカウント登録する
OpenSeaとは、NFTアートやNFTゲームのアイテムを取引できるマーケットプレイスです。
OpenSeaでは、GameFi運営者がNFTを販売できるだけでなく、手持ちのNFTを出品することも可能です。
OpenSeaでの「SIMBIOGENESIS」のページはこちら。
ウォレットを持っている人なら5分もあればアカウント登録できますよ。
ゲームとブロックチェーン、そしてNFTをつなぐ今後の展開
スクエニでは、今後もさらにNFT分野やブロックチェーン事業を進める姿勢を打ち出しています。ブロックチェーン技術を使ったゲームは、すでに海外では数多く販売されていますが、日本ではまだインフラ整備の途中段階にあります。そのため、スクエニは今後より積極的にブロックチェーンのインフラ整備へ投資することで、ブロックチェーンゲームの確立と普及に努めていくと発表しています。
どのような環境整備が必要なのか?
ブロックチェーンゲーム普及のためには、多方向からの環境整備が必要です。スクエニが最優先事項として掲げているのは、ブロックチェーンゲームのガイドラインを確立するルール設定と規制への対策です。ルールが明確化されることで、より多くの開発者が参入しやすいプラットフォームを確立できることが期待されています。
また、NFTの発行や管理、投資を専門に行う法人の設立も、スクエニが検討している環境整備課題の一つです。NFTコンテンツの決済は仮想通貨で行われるため、国境や通貨の概念はありません。グローバルな経済圏でNFT経済圏を構築することが可能です。スクエニでは海外にこのNFT管理法人を設立することで、より幅広いユーザー層へNFTゲームの普及に努めることを明示しています。
さらに、世界中に多くのファンを持つ既存のゲームに対しても、 NFTとのコラボによるゲームの拡張を計画しています。スクエニにはこれまでに数多くの大人気ゲームがあるため、NFT化が進むことによって、これまでのファン層をブロックチェーンゲームへ誘導することも十分に可能となるでしょう。
メタバースとの提携
スクエニは、メタバース業界のベンチャーキャピタルであるAnimoca Brandと提携をすることで、ブロックチェーンを使ったサービスの模索をしています。両者の関係は今後さらに深まると考えられており、ブロックチェーンをゲームへ導入することで得られるポテンシャルの開発と拡張に努めています。